鬼滅の刃に感じたこと
鬼滅の刃の個人的な感想です。
あくまで、私が思った&感じたことです。
作品としてはアニメを見た後、マンガを一気読みするくらい面白いかったです。
ストーリーもキャラも印象深い。
そして何より、両極端な女性の面を感じました。
アニメはハイクオリティ
私が鬼滅の刃を初めて見たのは、映画の無限列車編が上映される際にアニメが一挙放送された時です。
それまでも題名は知っていましたが見る機会がなく、有名だし見ておこうかなと軽い気持ちで見始めました。
作者が女性だという事も、最初から知っています。
1話目を見た時、とにかくアニメの作成に力を入れているなと思いました。
2クール分、作画のクオリティが変わらず、すごく安定した作品でした。
そしてストーリー。
1話目序盤からの嫌な予感が的中した時の絶望感。
たった一晩で幸せな家族が壊されます。
笑っていた妹、弟、優しい母。
容赦ない展開でした。
話は進み、蜘蛛の鬼編。
追い詰められた炭治郎は、思い出の中で父のヒノカミ神楽を思い出し、窮地を脱します。
女性的だなと思った回想の多用
炭治郎が水の呼吸を習得する際は長く鍛錬が続きますが、先ほどのヒノカミ神楽は回想の中で思い出し、技として使用します。
元々ヒノカミ神楽を習得はしていましたが、外的要因がなく自分の回想の中で技にするまでの過程を完結させている。
これがすごく女性的な発想だと思いました。
賛否両論があると思いますし、ただ単に私の感じた感想です。
この時の禰豆子もそうです。
血鬼術の”爆血”を会得する際も亡くなった母との回想からになります。
兄である炭治郎が危ない、炭治郎を助けられるのはあなた。
との母の声に力が目覚めます。
メインの2人が揃って同じような経緯で新しい力に目覚めます。
それぞれ窮地に陥ってからの習得には違いありませんが、そのために何か訓練をしたりという事はありません。
過去に炭治郎は父と訓練していたとは思いますが。
何というか、こうだったらいいな。
という空想を体現しているという感じがします。
この部分がすごく女性的だと思いました。
他にも炭治郎のセリフ「長男だから我慢できた」というのがあったと思いますが、これもそうだと思います。
守ってあげたい、という女性的な面が作品に出ていたのではないかと。
物理的な話ではなく、包んであげたい。
母性的に自分の子どもたちを庇護したい、というイメージを受けました。
自分のキャラに対しての扱い
女性的だなと思ったのは、物語も少し進んだところでの感想ですが、物語の始まりは全然別の感想も持っていました。
1話目序盤からの嫌な予感が的中した時の絶望感。
これは、家族が亡くなる直前までの幸せな感じがすごく伝わってきた分、寄り添いながら亡くなっている母と兄弟たちを見なければならなかった炭治郎の気持ちに本当に心が痛くなります。
特に幼い子供たちがなくなっているシーンは、子どもが3人いる私としては見るのも辛いシーンです。
これを書くためにマンガを見返しましたが、こういうきっかけでもない限りもう見たくはありません。
他にも鬼の被害者たちも容赦ない結果が多々あります。
以前、『物語を作るには、自分のキャラクターを辛い目に会わせることができないとダメ』と言われたことがあります。
それが出来なければストーリーに深みがないし、面白くない。
『特に女性は自分のキャラクターを辛い目に合わせることができない事が多い』
とも言っていました。
自分の子どものようなキャラクター達、確かに痛い目などに合わせたくない。
なぜならかわいそうだから。
この『かわいそう』が全てです。
独身だったその時はなんとなくでしか分かりませんでしたが、母親になった今ではよく分かります。
別のサイトで小説を書いていましたが、ストップしています。
なぜなら主人公の身内が”辛い目”に合うから、これ以上書けないと思ったのです。
書き始めた当初は独身だったので、物語に深みを持たせるためにそのエピソードを入れようと思っていました。
その時にそこまで書ききっていたらよかったのですが、そこまで書けませんでした。
それを吾峠呼世晴さんはきちんと容赦なく描いています。
1話目を見た瞬間、女性の作者だと知っていたので”これは凄い!”と思いました。
家族が亡くなり、生き残った妹は鬼になっているという知識だけはアニメを見る前にもあったのですが、まさかこれほど容赦のない描き方だとは思わなかったのです。
アニメの演出でそう思っただけかと思いましたが、原作を読んでもその印象は変わりませんでした。
鬼滅の刃が女性に刺さるところ
男性ファンもたくさんいると思いますが、女性のファンも多く獲得したのは容赦ないキャラクターへの過酷な過去と、回想で要所を抑えた所。
この両極端な辛さと優しが女性を惹き付けたのかなと思います。
要するに、すごく女性的な所とすごく女性的でない所、これが合わさった作品だと思います。
主要人物の辛い過去や死亡、それ以上に過去の回想が多いのもあると思います。
全体的な量で言うと、”辛さ” < ”優しさ” と、優しさの量の方が多いとも思うので、この先何か救いがあるのかもしれない、救われるところを読んであげたいと思ってしまうのではないでしょうか。
それが読んでいてすごくバランスの良さになっているとも思います。
アニメもマンガも、すごく面白い作品でした。